ひかりの調子と肌ざわりをととのえたリフォーム

築16年のお住まいに、一通りのメンテナンスに加え、窓を少々追加し窓まわりの細工を施し、ひかりの調子をととのえ、肌触りを意識しながら、年月の積みかさねが味となる自然素材を中心に内装を一新したリフォームです。

リフォーム前のインテリアは、どちらかというと少し重みのあるシックな感じで品よくまとめられてはいたのですが、奥様は、当時どうもこれにしっくりこない感じが募っていたところでした。この募る思いが一線を超えたのでしょうか、ある日、奥様は、まずは目立たないところから試しにと、トイレの壁をご自身で白く塗装し始めたのでした。この奥様の行動にご家族は驚かれたとのこと。勾配屋根のため、近頃は屋根から落ちる雪の除雪にご苦労されており、これもなんとかならないものかと考えていらっしゃったことなどもあり、新築してそれなりに時間もたったことだし、これをきっかけに、リフォームをしましょうということになったそうです。

御宅に伺ってみますと、調度品は質感のしっかりしたものでまとめられ、丁寧に上品に住まわれています。建物の床や壁の色調はシックで、一見、調度品と調和しているように感じたのですが・・・。建築主のお話を伺いながらしばらくすると、私もどうもしっくりこない感じを受け始めました。調度品のしっかりした質感に、建物の質感がまけてしまっていて、インテリア全体の質感がアンバランスとなっていたのです。このアンバランスを奥様は感じられていたのかもしれません。

新築でも同様ですが、リフォームでも、限られた予算のなかで、もともとそこあるものを生かすように手を加えるということは、効率的で有効な手段のひとつです。
まず、上質な調度品を生かしインテリアのバランスをととのえるよう、室内の仕上げには、質感を素直に感じられる材料を使うことを提案しました。
玄関と階段は壁で仕切られていたのですが、この壁の天井付近を少しくり貫きました。工事としては僅かなことですが、これは、玄関と階段の双方で、空間の広がりを感じさせるとともに、階段の踊り場にあった高窓からの光を、玄関の空間にも生かし、空間にさらなる奥行きを与えています。

茶の間の障子に映し出される庭の木々の陰影、玄関の壁や床などに映し出された木漏れ日は、ひかりによって穏やかに外の様子を室内で感じさせてくれます。そよ風に揺れる枝葉の陰影は、室内に外の風を感じさせてくれます。
少々加えた窓は小さな窓ですが、室内の明るさを調整することはもとより、大きさや位置を的確に吟味することにより、単なる壁に視覚的な抜けをつくり、壁そのものにも魅力を与えます。

屋根の雪や一部の窓の結露などの問題を解決し、良さを生かし、不具合を改善したお宅で、ご家族はあらためて日々の暮らしを楽しまれているご様子です。

DATA

  • 所在地: 札幌市南区
  • 施工: (有)徹庚ハウジング
  • 主要用途: 専用住宅
  • 敷地面積: 208.83㎡
  • 建築面積: 69.34㎡
  • 延床面積: 145.11㎡
  • 構造: 木造
  • 規模: 地上2階
  • 竣工: 2008年8月(リフォーム)
    1992年(新築)
  • 撮影者: KEN五島

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