浦河フレンド森のようちえん
北海道においては比較的穏やかな気候で自然豊かな浦河町にあるこども園の、老朽化した園舎移転建て替えプロジェクトである。「自然と人間を愛する教育」を理念に掲げるこの園の新園舎には、自然体験活動を軸とした子育て、保育、幼児教育を行う「森のようちえん」という北欧発祥のメソッドを体現できる空間が望まれた。敷地には森での活動を日常的に行えるよう、町はずれの雑木林を抱えた小高い山裾の、なだらかな傾斜地が選ばれた。
園舎を、南に面したかしわの森での活動準備空間と位置づけ、「森へのアプローチ空間」を南北軸に沿って設け、これを遊戯室とし、その両脇に保育室を配した。身体に親しみやすい断面寸法(柱:120角、梁:120×180)で構成される道産カラマツ材の、一辺が3.3mの正四角錐を1ユニットとした立体トラスが柔らかく全体を覆い、ゆるやかに空間を分節する。この架構は床から立ち上がり、機能上必要な空間を確保しつつ、斜め柱の柱脚部のような一見実用的ではない空間も内包し、この架構そのものが子供たちの発想の手がかりとなることを意図している。室内のどこにいても屋内外の環境をシェアしている感覚が持てるように配置した開口部からの光と風は、単一のユニットから成る立体トラスの中に均質ではない空間を生み、連続する一体空間に多様性を与え、子どもたちがその時の気持ちや、したい行動に合わせた居場所を自らが選択できるようになっている。この大空間の温熱環境は、冬季夏季共に高断熱と地盤の大きな熱容量を利用した温冷放射によってベース温度が保たれる。
子供たちの世界が建築によって囲い込まれるのではなく、子供たち自身が自由な使い方を創造し、自分の居場所や世界を発想しながら感性や理性を発見・形成していく。この園がその出発点となっていくと共に、この園の活動を支えて下さっている多くの方々にとっても心地よい場所になることを願っている。
園舎を、南に面したかしわの森での活動準備空間と位置づけ、「森へのアプローチ空間」を南北軸に沿って設け、これを遊戯室とし、その両脇に保育室を配した。身体に親しみやすい断面寸法(柱:120角、梁:120×180)で構成される道産カラマツ材の、一辺が3.3mの正四角錐を1ユニットとした立体トラスが柔らかく全体を覆い、ゆるやかに空間を分節する。この架構は床から立ち上がり、機能上必要な空間を確保しつつ、斜め柱の柱脚部のような一見実用的ではない空間も内包し、この架構そのものが子供たちの発想の手がかりとなることを意図している。室内のどこにいても屋内外の環境をシェアしている感覚が持てるように配置した開口部からの光と風は、単一のユニットから成る立体トラスの中に均質ではない空間を生み、連続する一体空間に多様性を与え、子どもたちがその時の気持ちや、したい行動に合わせた居場所を自らが選択できるようになっている。この大空間の温熱環境は、冬季夏季共に高断熱と地盤の大きな熱容量を利用した温冷放射によってベース温度が保たれる。
子供たちの世界が建築によって囲い込まれるのではなく、子供たち自身が自由な使い方を創造し、自分の居場所や世界を発想しながら感性や理性を発見・形成していく。この園がその出発点となっていくと共に、この園の活動を支えて下さっている多くの方々にとっても心地よい場所になることを願っている。