ぽけっとランド立川保育園
東京保育医療秘書専門学校

立川駅の中心街・大通に面した敷地に建つ保育園と保育士養成専門学校のコンプレックスです。
街並みの一部として美しく経年しつつ、都会の喧騒の中でも自然がつくり出す時・空間を感じられる場をつくりたいと考え、外壁に経年変化が味わいとなるよう左官仕上を採用し、これに映し出される孔あきライトシェルフの陰影によってファサードを構成しています。
諸条件を考慮し、平面計画は南側大通に面して居室を並べ、北隣地側にコアを配した片コアタイプとし、道路側外壁に採光と代替侵入口のための正方形の小窓をバランスよく配し、排煙窓を兼ねたハイサイドライトを連ねています。
また、 南中時の陽射しはもとより、太陽高度の低い朝夕の陽射しも遮蔽するため、正方形の小窓には筒状の日除けを設けています。ハイサイドライトは抱き納まりとし、ライトシェルフに反射し、熱がふるい落とされた光を室内に導き、冷房負荷を低減しています。これら日射遮蔽の仕掛けは窓から侵入する大通の暗騒音に対する反射・緩衝の役割も担っています。
孔あきライトシェルフは、それによる陰影が外壁面に鮮明に映し出されるよう極薄の2.3mm厚の鉄板で製作し、工夫された先端形状により100年再現の風圧にも耐えられる強度を持つよう設計しています。また、この孔はライトシェルフの雨水排水を兼ね、歩道側・外壁側に雨水を垂れ流さない仕掛けになっています。
外壁の左官仕上は白モルタルをベースに骨材や肌合いの使い分けによって、シンプルで飽きがこない表情とし、移ろいゆく花模様の陰影を「引きの美学」でさりげなく受け止めます。高層建築の外壁にALC下地でこの左官仕上を採用することは前例のない試みでありましたが、施工者と細部まで徹底した技術的検討を重ね、左官の持ち味を活かした壁面の実現にこぎ着けました。
季節や天候によって日々異なる光を反射と陰影により視覚化し、一瞬として同じ表情とならず、移ろいゆくファサードが街並みに自然の時・空間を創出します。この建築が街ゆく人にとって常に新鮮であり、長く親しまれる場となることを願っています。

ぽけっとランド立川保育園
東京保育医療秘書専門学校

  • 所在地 東京都立川市曙町
  • 構造設計 (株)JSD
  • 設備設計 長沼環境計画
  • 施工 清水建設(株)
  • 主要用途 保育所・専修学校
  • 敷地面積 499.15m²
  • 建築面積 388.41m²
  • 延床面積 3153.76m²
  • 構造 鉄骨造
  • 規模 地上9階
  • 竣工 2016年5月
  • 写真 井上 登

お問い合わせ